鼻をくすぐる甘いにおい。
彼の好物である甘いにおいを発する物体を前に嬉々としている彼。
そんな彼のバックには花が舞っているような幻覚すら見えそうだ。
その甘いものの正体はケーキだ。
生クリームたっぷりでチョコレートやフルーツがふんだんに使われている。
いかにも女の子受けしそうなスウィーツたちを前にこのうえない笑みをさらしてい彼の名はアスラン・ザラ。
整った顔立ち、肩まで伸ばした藍のかかった髪に翡翠をはめ込んだような目を持つ彼はまさにコーディネイターの
生んだ賜物だった。
そんな彼だから昔はよく女の子に間違われたが、成長した今では男らしい気品が漂っている気がする…。
  

「う〜ん、おいしい。」

満面の笑みを浮かべて彼は幸せそうに一口、また一口とケーキをほおばっている。

「はぁ…こんな君の姿、学校の誰かが見たら卒倒するだろうね。」

キラはため息混じりにつぶやいた。

「ん?」

そのつぶやきは彼、アスランに聞こえていたらしく、小首をかしげながら不思議そうにこちらを見ている。
その可愛らしいといえるしぐさを目の当たりにしたキラは益々ため息をついた。
それも其のはず、アスランは学校では氷の貴公子と呼ばれるまでにクラスメートなどの周囲には冷たく、近寄りが
たいイメージがある。
しかし、なぜかキラと二人きりのときは180度うって変わって始終にこにこしているのだ。
其の姿は、まるで子猫が擦り寄ってきているような感じといったほうがわかりやすいかもしれない。

「どうした?キラも欲しいのか?じゃぁ、はい、あ〜ん。」

などといったアスランは、生クリームたっぷりのケーキを一口、フォークで差し出してきた。
別にそんなつもりではなかったが、キッチンで洗い物をしていたキラはちょうど終わったところだったので、エプ
ロンを脱いでアスラ
ンの座っているソファの横に座った。
そして差し出されたケーキをキラはぱくっと口に含んだ。

「…おいしい。」
「だろ?よかった。」

そういった彼はまたにっこりと微笑んだ。



学校での彼と二人きりのときの彼。
キラはいつもそのふたつの彼の顔のギャップに惑わされている。
それもそのはずで、学校での彼はキラにさえも冷たいのだ。
と言うより、口数が少なすぎるといったほうがいいか…。
そんな状況と今の状況を知っているキラにとっては毎日が戸惑いの中にある。
まあ、自分と二人きりの時だけこんな風になるのはある意味うれしいことなのだが…。

「キラ。」

そんなことを考えていると、突然先程よりトーンの低いアスランの声が聞こえた。
……………………まずい。
さっきの機嫌のいい時のアスランの声よりも低く、学校での冷たい時のアスランの声よりは低くない声。
心なしかその声は艶がある気がする…。
彼がそんな声を発したときは大抵ろくなことにはならない。
危険信号を察知したキラは即座に逃げようとするが、アスランはそれよりも早く動き、キラをソファに押し倒して
しまった。
「ちょ、何、アスラン!!急になにすんのさ!!」

予感的中で緊急事態に陥ったキラはすかさず講義する。

「何って、ケーキ食べてるキラがあんまり可愛いから。」

そういった彼はくったくのない笑みを浮かべる。

「な、な、な///じゃなくて、そうだ!ケーキ!君、まだケーキ食べてる途中じゃないか!」
「ケーキ?あぁ…それならキラがぼ〜っとしてる間に食べちゃったよ?」

急に事に及ぼうとした彼の気をそらそうとして話題を振ってみるが、あっさり返されてしまう。

「…もしかして、キラは俺とそういうことするの、嫌なのか?」

話題をそらそうとしたキラに機嫌を悪くしたのか、アスランは眉を下げながら悲しそうに聞いてくる。
目を少し潤ませるというオプション付きで。

「う…それは…。」

実はキラはアスランのそんな表情に弱い。
しどろもどろして顔を赤くするキラにアスランは一層人懐っこい笑みを浮かべながら

「ではいただきます。」

と、キラの服に手をかけていった。


そうしてキラはアスランにおいしくいただかれましたとさ。
めでたしめでたし?





言い訳↓(反転)
友達に貸してもらった某作家さんの乙女攻めに感動して、よっしゃアスキラでやったれ!!と思ってかいたんデ ス ガ。
乙女どころか結局無駄に笑み浮かべてるザラになっちゃいましたね。(遠い目)


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